春のまちあわせ

そこに広がる静けさの中に、あたかも世界との距離をじっと測るような親密な時間が横たわるーームラタ有子作品集。

春のまちあわせ

著者：ムラタ有子
寄稿：岡野晃子、樋口昌樹
デザイン：永井裕明（N.G. inc.）
発売日：2022年3月
言語：日本語、英語
ページ数：14 pp
サイズ：242x183 mm（ペーパーバック）

油彩の豊かさが伝わる、とろけるようなクリームやピーチ、柔らかな空色に彩られた動物や風景が、削ぎ落とされた構成で展開されるムラタ有子の絵画世界。作品のイメージは、古い絵葉書や図鑑、観光パンフレットなどの既存の写真から切り取られ、どこか既視感のある親しみのあるもの。
ムラタは2021年に、THE GINZA SPACE、ISETAN SALONE Art Wall、そしてGALLERY SIDE 2の3ヶ所にて、それぞれ異なる3つのテーマに沿って新旧作を合わせて40点以上発表しました。本書はこの連続個展を機に、2021年の新作のみを収録したカタログです。新作では、動物や風景に加え、枝や空を描いた絵を立体的に提示する、新たなチャレンジも。
ヴァンジ彫刻庭園美術館副館長の岡野晃子と美術評論家の樋口昌樹によるテキストも採録した、充実の一冊です。気づかなかった風景が懐かしく香り立つ、遠くて近い小さな旅をお楽しみください。

【作家略歴】
むらた・ゆうこ
神奈川県を拠点に活動。1995年、セツモードセミナー卒業。古い絵葉書や既存の写真をモチーフに、ミニマルな色と形で構成された風景や動物の絵画を手がける。広がる静けさの中に、あたかも世界との距離をじっと測るような親密な時間が横たわる作風が特徴的。
主な個展にGALLERY SIDE 2（東京）、ユスト・ジネール（スペイン、マラガ）、インマン・ギャラリー（アメリカ、ヒューストン）、ジェームス・コーハン（上海）など。グループ展は2017年にヴァンジ彫刻庭園美術館のほか、2006年に台北ビエンナーレに出展するなど世界各地で作品を発表。